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2024年11月18日

田中 秀典 先生 国内留学体験記 昭和大学江東豊洲病院(東京都江東区)

2024年4月から9月までの半年間、昭和大学江東豊洲病院に国内留学させていただきました。

昭和大学江東豊洲病院の紹介

昭和大学江東豊洲病院は、昭和大学の附属病院のひとつで、再開発により整備されたモダンな街並みの一角に位置する中核病院です。国立がん研究センター中央病院やがん研有明病院も近く、ちょうど間に挟まれた位置にあるため、がん患者が集約される病院ではありませんが、食道アカラシアに対する内視鏡治療(経口内視鏡的筋層切開術:POEM)や胃食道逆流症(GERD)に対する内視鏡治療を考案し、世界に発信されてきた井上晴洋先生が消化器センター長を務めており、これらの疾患治療のメッカともいえる病院です。全国各地から紹介患者が集まるほか、これらの診療技術の習得のために国内外からの留学生も常に受け入れています。私もこれらの疾患に対する診療を習得すべく、北海道大学、千葉大学、モンゴルから来ていた先生とともに研修させていただきました。


昭和大学江東豊洲病院

昭和大学江東豊洲病院


職場の環境

若い先生が多いからか、国公立大学病院と私立大学病院の違いなのか、あるいは広島と東京の違いなのか、今まで働いてきた環境とはまた異なる、明るく楽しい雰囲気の職場でした。食道アカラシアやGERDに関しては親身に指導をいただきながら経験を積むことができ、また一方で、モチベーションの高い若い先生たちには指導する機会も数多くありました。日中は検査と治療がぎっしり詰まっており常に動きっぱなしで忙しかったですが、随所で互いの知識や技術を共有しながらスキルアップできました。仕事終わりにはよく飲みに行き、良い人間関係を築きながら充実した時間を過ごすことができました。


サマーキャンプ(医局旅行)の集合写真

サマーキャンプ(医局旅行)の集合写真


所属した上部消化管グループの懇親会

所属した上部消化管グループの懇親会

私が学んだこと

「内視鏡治療」と聞いて多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、EMRやESDといった腫瘍や早期がんに対する内視鏡切除だと思いますが、これらは基本的に無症状です。一方、食道アカラシアをはじめとする食道運動機能異常やGERDの患者には、症状によって食事が摂れなかったり日常生活に支障をきたしたりする方もおり、適切な検査・診断と治療を行えば、症状を劇的に改善させることができます。広島ではこれらの診療はこれまで積極的に行われておらず、私自身も最低限の知識しか持っていませんでしたが、学べば学ぶほどこれら機能異常の病態は非常に興味深く、「機能疾患と内視鏡をリンク」させ、「苦しい症状を内視鏡治療で改善できる」ことは非常に価値のある診療であると実感しました。治療技術をはじめ、診断や病態の理解に至るまでの知識は留学がなければ得られなかったものであり、今後は臨床で活かし実践していきたいと考えています。

さいごに

国内留学を通じて、新しい知見や考え方に触れたことで、それまで自分のいた世界があまりにちっぽけに感じるほどに、自分の視野が大きく広がり成長できたことを実感しています。留学では、同じところにいては気付くことも考えることも得ることもできなかったものをたくさん得ることができ、自分にとって大きなプラスになります。興味のある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。


留学の終わり 壮行会にて

留学の終わり 壮行会にて