先輩からのメッセージ

宮本 亮先生

2015年 広島大学卒(ふるさと枠 第1期生)

メッセージ

消化器内科を検討しているふるさと枠の学生・卒業生の方々のきっかけになればと思い、大学院体験記を記させて頂きます。
私は、ふるさと枠1期生として2009年に広島大学に入学しました。1期生なので、今後のキャリアなど不明確であり、いつからいつまで僻地に従事するのか?専門性はどうなるのか?と漠然とした不安を抱いていたことを覚えています。
大学卒業後、広島大学病院・JA廣島総合病院での初期研修を終えて、各病院での消化器内科の先生方の楽しそうな人柄が魅力的であり、内視鏡診療に興味があったため消化器内科に入局しました。

その後、庄原赤十字病院で内科として後期研修を行った後に帰学しました。大学院に入学し、消化管研究室の基礎実験のグループに所属となりました。
基礎研究に馴染みがなく不安でしたが、指導医である瀧川先生をはじめ、グループの先生方に手厚いサポートをしていただきました。研究を行うにあたり、研究テーマやするべき実験の決定・データベースの解析など、膨大な下準備が必要でしたが、瀧川先生の熱心な指導もあり実験開始にこぎつけることができました。
消化器内科の大学院生は、実験などの研究の傍ら内視鏡診療などの臨床業務も行います。大学で全国でも最先端の内視鏡診療に携わり、学年の近い同門の先生方と相談・議論できたことはとても充実した日々でした。消化管病変の内視鏡的精査を行うときは緊張しましたが、数をこなしていくうちにメキメキと実力がついたように思います。
内視鏡診療科の上級医の先生方はみなさん気さくですが、頭脳明晰で内視鏡治療の実力がとにかく高く、熱心に指導されるため学ぶことが非常に多かったです。日中は内視鏡診療・夕方からは実験と二足のわらじ状態で多忙でしたが、いま思えばあっという間に時間が過ぎていきました。私の研究テーマは、大腸癌に対して新薬がどのような機序で効果を発揮するのかを網羅的解析するというもので、免疫染色やin vitro、in vivo、RNAシークエンスなど多岐にわたる実験を行いました。各種実験ではなかなかうまくいかないことも多々ありましたが、試行錯誤の末に二年間でなんとか実験結果を出すことができました。

大学院3年生から公立世羅中央病院に出向し、内科診療・内視鏡診療を並行して行うことになりました。
同院では消化器内科医が常勤として勤務することは初めてのことであり、高い期待を背負っているいることをひしひしと感じました。自分ひとりしかいない状態で内視鏡診療を行うため、全部自分で決めなければなりません。そういう中で、大学病院で毎日培ってきた内視鏡の経験が活きていると強く実感しました。
漠然とした一般内科ではなく、専門性を持っている内科医というのが強みであり、ふるさと枠卒業生として求められている医師像かもしれません。僻地でも標準的な内視鏡診療ができているというのは非常にやりがいがあり、内視鏡検査を受けた患者さんに「今までで一番楽だった」と言われうれしい思いをすることも多くあります。

地域にいながら空き時間を利用して論文執筆を行い、瀧川先生にはメールや電話で熱心にご指導頂きました。論文作成がなかなかうまくいかず大変でしたが、大学院4年生である今年度に論文がアクセプトされ学位を取得することができました。瀧川先生をはじめとした実験グループの先生方には感謝しかありません。この場を借りて御礼を申し上げます。
学位を取得したことは誇りであり、今後の医師として糧になると確信しています。僻地に勤務する義務年限は終了していますが、今後もしばらく地域医療に従事して自分の経験を還元することができたらと考えています。
ふるさと枠の医師が最も多く所属しているのが消化器内科であり、地域医療とマッチしている診療科の一つだと思います。消化器内科ではふるさと枠卒業生に負担にならないようなカリキュラムが準備されており、サポートも手厚く、私のように専門医や学位を問題なく取得できるようになっています。
後輩のふるさと枠のみなさんにも、ぜひ消化器内科に入局いただき地域医療を楽しんでもらえたらと願っています。